2017年10月13日金曜日

神戸山口組本部事務所をめぐり、公益財団法人「暴力団追放兵庫県民センター」が使用差し止めの仮処分を神戸地裁に申請

<代理訴訟>普通の生活願い 神戸山口組本部差し止め申請

2017/10/12(木) 12:49配信



兵庫県淡路市の神戸山口組本部事務所をめぐり、公益財団法人「暴力団追放兵庫県民センター」が今月2日、使用差し止めの仮処分を神戸地裁に申請した。改正暴力団対策法に基づく「代理訴訟制度」を使った指定暴力団本部への申し立ては全国初。その背景には「普通の生活を取り戻したい」という住民たちの強い思いがあった。

淡路島の海辺にある住宅街の一角に暴力団事務所が現れたのは約7年前。元々は地元企業の建物だった。住民の男性は「知らないうちに拠点ができ、恐怖や怒りを感じた」と振り返る。

2015年8月、山口組から神戸山口組が分裂し、事務所はその本部となった。月1回、全国から幹部が集まる定例会があり、組員の出入りが増えた。近くの小学校までは約400メートル。通学路の見守り強化などの対策を取ったが、神戸市内で事務所にダンプカーが突っ込むなど衝突が頻発し、「いつか同じことが……」と不安がよぎった。

男性ら地元住民は県警とも相談し、昨年10月、「暴力団追放淡路市民の会」を結成。使用差し止めの仮処分を申請するため、申立人になるよう各戸を頼んで回った。逆恨みを恐れる声もあったが「抗争が起きてからでは遅い。地域を守るために立ち上がろう」と呼びかけ、約20人を集めた。

準備中の9月12日、神戸市長田区で射殺事件が発生した。指名手配されたのは神戸山口組系暴力団組員。報復の不安は現実味を帯びた。男性は「一歩間違えば一般人に流れ弾が当たっていたかもしれない。不安はピークに達した」。暴追センターに委託して使用差し止めの仮処分申請をしたが、暴力団が出て行くまでは安心できないという。

地裁は今後、双方の意見を聞いた上で、仮処分を出すかどうか判断する。住民側の弁護団長、垣添誠雄弁護士によると、裁判所の決定まで通常数カ月かかるが、事態が切迫していたため16日で認められた事例もあるという。垣添弁護士は「速やかに判断してほしい」と求めている。

◇訴訟代行、法改正で

暴力団事務所の使用制限を求める住民運動は、1987年に使用差し止めが認められた山口組系「一力一家」(浜松市)の事務所撤去運動が最初とされる。しかし、仮処分申請した住民団体関係者が襲撃された。その後も各地で事件が相次いだことから、公益法人や自治体が住民に代わって表に立つ方法が普及しつつある。

2013年施行の改正暴力団対策法で、各都道府県の暴力団追放センターが住民側と委託契約を結んで原告となり法的手続きを代行する「代理訴訟制度」が導入された。同制度を活用した申請は、今回とは別に広島や福岡などで6件あり、うち5件で仮処分や和解が決定した。

自治体の支援も広がっている。福岡県は今年度、同様の代理訴訟で、住民側の負担をゼロにする全国初の助成制度を始めた。京都市は自治体として全国で初めて指定暴力団・会津小鉄会本部事務所の使用差し止めの仮処分を京都地裁に申請し、今年4月に認められた。

参照元 : 毎日新聞

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