2017年6月23日金曜日

元山口組顧問弁護士「“状”の偽造で逮捕はあり得ないこと」 “状”とは「絶縁」「破門」「除籍」「引退」などを同業の暴力団組織に通達すること

山之内元山口組顧問弁護士が解説 前代未聞の逮捕容疑となった“状”の偽造って?〈週刊朝日〉

2017/6/22(木) 10:19配信



指定暴力団、会津小鉄会の内紛をめぐり、京都府警は虚偽の文書をつくったという有印私文書偽造などの疑いで会津小鉄会系「心誠会」会長の原田昇容疑者と山口組組員らを21日に逮捕した。

原田容疑者は1月、会津小鉄会の分裂騒動の折、先代組長が引退し、自分が7代目会長に指名されたことを通達する文書を偽造し、関連団体へファックスなどで送った疑いがもたれている。

この通達文書は暴力団関係者の間で“状”と呼ばれているものだ。

元山口組顧問弁護士の山之内幸夫氏は「“状”の偽造で逮捕はあり得ないこと」と驚き、こう訴える。

「ヤクザに人権がない、そうなってからかなり時間が経過します。しかし、“状”の偽造を有印私文書偽造として逮捕容疑にもってくる。本当に信じられないことです。私も経験ありません。前代未聞です」

では問題の“状”とはどういうものなのか。

暴力団組織は、親分と子分、杯をかわして疑似の親子関係や兄弟関係を結ぶが、時としてその関係が崩壊してしまう。

そんな時「絶縁」「破門」「除籍」「引退」などを同業の暴力団組織に通達するのが“状”。

引退時や事務所移転、新設などでも常に“状”は出される。現在はネット社会だが、ずっと以前から暴力団組織に培われた特有の連絡、広報手段でもある。山之内氏はこう解説する。

「有印私文書偽造というのは、権利義務に関する重要な事項にかかわる文書を偽造した時に適用されます。想定しているのは不動産の契約書や小切手、借用書などです。暴力団の伝達手段、“状”に権利義務に関する重要な事項などありませんわ」

しかし、今回の逮捕状が裁判所から出された。

「警察が、“状”は権利義務に重要だと作文したのでしょう。問題の“状”は先代組長が、引退したという内容でますます権利義務から遠ざかることになる。裁判所もよく逮捕状、認めたものです」(山之内氏)

そして暴力団関連の裁判やトラブルを何千件も、担当した約40年のキャリアを持つ山之内氏はこう訴える。

「“状”が立件対象になったケースはかつてなく、これが私文書と認定されると、逆に警察がお墨付きを与えることになる。今後、暴力団が“状”を出す際、弁護士に依頼するような時代がくるかもしれません」(ジャーナリスト・今西憲之)

参照元 : Dot.


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