2018年11月18日日曜日

メキシコの麻薬王エル・チャポが法廷で主張「現・前メキシコ大統領に数百万ドルの賄賂を渡した」

「メキシコ現・前大統領に贈賄」 麻薬王が法廷で主張

2018/11/14(水) 9:26配信



【AFP=時事】米国で裁判にかけられているメキシコの麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)被告の公判が13日、ニューヨークの裁判所で開かれ、グスマン被告は自身の麻薬密輸組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」が現・前メキシコ大統領に数百万ドルの賄賂を渡したと証言した。また、逃走を続けている共同被告人こそが真の犯罪者だと主張した。

グスマン被告は世界でも特に名を知られた犯罪者で、メキシコで2回脱獄した後、2017年1月に米国に身柄を引き渡され、密売や銃、資金洗浄(マネーロンダリング)に関する11件の罪で起訴された。裁判は4か月以上に及ぶ見通し。

被告弁護人は法廷で、退任が迫るエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領と、フェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)前大統領に言及。逃走中の共同被告人、「エル・マーヨ(El Mayo)」ことイスマエル・サンバダ(Ismael Zambada)被告が、「トップ中のトップ、メキシコの現・前大統領」を含む相手に賄賂を渡したと主張した。

一方、カルデロン前大統領、ペニャニエト大統領はいずれもすぐにシナロアから賄賂を受け取ったことを否定。カルデロン氏は「完全に誤りで無責任だ」、ペニャニエト氏は「完全に誤った中傷だ」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

参照元 : AFPBB News


麻薬王「エル・チャポ」の公判がNYで開始。最も費用がかかる裁判に

2018/11/10(土) 8:40配信



メキシコで麻薬組織カルテル「シナロア」を創設し世界の麻薬の密売を支配した麻薬王エル・チャポ(El Chapo)ことホアキン・グスマン・ロエラの公判がニューヨークのブルックリン地区連邦裁判所で11月5日より開始された。

エル・チャポは米国への麻薬の密輸入及び密売、武器の所持、資金洗浄など11の罪状に問われている。

麻薬の密輸入と密売については、コカイン、ヘロイン、大麻、メタンフェタミンなどを2003年から米国に密輸して販売していたとされており、その量は457トン、そこから得た密売による収益は140億ドル(1兆5400億円)と推察されている。

公判の開始にあたって、先ずは陪審員12人と6人の予備員を選ぶのに800人の中から選考されているが、その承認などを済ませて、実際に証人尋問など公判が開始されるのは11月13日とされている。

◆NY市民にも不都合を強いる裁判

公判は4カ月かかると見られており、その間彼が収監されている連邦刑務所メトロポリタン矯正センターから裁判所までの往復の行程の中にブルックリン橋を通過せねばならない。その際に、彼を搬送してこの橋を通過する時に橋は一時閉鎖されることになっているという。そして移動中は空からはヘリコプターで搬送車を監視することにもなっているそうだ。4か月間、ニューヨーク市民はこの不都合に堪えねばならないのである。

この公判にかかる費用は5000万ドル(55億円)と推測されており、米国の法廷で行われる最も費用のかかる裁判だとされている。

エル・チャポの3人の弁護士は彼の移動がもたらす不都合を解消する為に、公判中は彼を裁判所の近くの拘置所に移すように裁判長のブライアン・コーガンに要請しているが、今の処は受理されていない。

エル・チャポはメキシコから現在の刑務所に2017年1月に移されてから彼の独房は24時間監視されており、照明も24時間点灯されたままで、小窓はあるが、内側からは外が見えないようになっているという。このような厳しい条件下に置かれている関係から公判中に条件が緩やかになる拘置所に収容するということに裁判長は抵抗を感じているようである。

◆麻薬王「エル・チャポ」の足跡

米国で最も高い費用が掛かる公判にさせたエル・チャポのこれまで辿った過程を以下に紹介する。それを、スペイン電子紙『El Confidencial』とアルゼンチン紙『El Clarín』が11月5日付にて上手く要約しているのでその一部を拝借することにする。

因みに、彼の出身国であるメキシコはこの公判についての紙面での報道は並みの報じ方で終わっている。メキシコは今もカルテルによる犯罪が横行している状態であるがゆえに、この公判を積極的に報じるのは社会的に都合が良くないと判断しているように推察される。

1954年4月4日 エル・チャポはメキシコのシナロア州にて誕生。

1969年 15歳の時に大麻を栽培。エル・チャポという呼び名は彼の身長が164㎝と低いことから付られたという。

1980年 当時、最も勢力を張っていたミゲアンヘル・フェリックス・ガリャルドが率いるカルテル「グアダラハラ」に加入。

1989年4月 ミゲアンヘル・フェリックス・ガリャルドが逮捕されて収監。エル・チャポはクリアカン市に場所を移して、そこで3人の仲間と一緒にカルテル「シナロア」を創設。

1991年6月 逮捕されるが、10万ドル(1100万円)で警察部長を買収して脱獄。

1993年6月 中米グアテマラで逮捕されて、メキシコに送還されてアルティプラノ刑務所に収監。

1995年11月 警備がより厳重なプエンテ・グランデ刑務所に移される。

2001年1月 刑務所の監視員を買収して洗濯物が入ったカートの中に隠れて脱獄

2011年6月 米国は彼についての情報提供者には500万ドル(5億5000万円)の報酬金を提供すると公知。

2014年2月 シナロア州マサトゥラン市で米国の麻薬取締局(DEA)の協力でメキシコ海兵隊によって捕獲される。

2015年7月 アルティプラノ刑務所の彼の独房のシャワー受け皿の下から仲間の手助けで1.5キロの地下トンネルを掘って脱走。

2015年10月 ハリウッドスターショーン・ペンがエル・チャポが惚れたメキシコのメロドラマ女優ケイト・デル・カスティーリョに案内されて彼が身を隠していた場所を訪問。雑誌ローリングストーンに彼との会見を掲載するのだという目的でペンは録画を撮った。エル・チャポがペンとの会見に応じたのは彼の生い立ちを映画にして欲しいという願望があったからだという。

この招待が彼の逮捕に結びつくことになった。というのは、警察はケイト・デル・カスティーリョがエル・チャポと接触があるというのを知っており、彼女の行動を追跡していたからである。ちなみに、この会見が無かったならば、今もエル・チャポは逮捕されていなかったであろうと推察されている。

2016年1月 メキシコ連邦警察は彼を逮捕して再びアルティプラノ刑務所に収監。

この時点から米国政府はメキシコ政府に彼の米国への送還を執拗に要求して来るのである。メキシコのペーニャ・ニエト大統領はメキシコで裁きたいとしてそれを拒否し続けられるのは時間の問題とされていた。

2017年1月20日 メキシコ政府は米国の要求を受理してエル・チャポの身柄を死刑の判決は下さないという条件付きで米国に送還することを決定。

米国に送還されて今月の公判まで彼は、前述の連邦刑務所メトロポリタン矯正センターに収監されていたのである。彼が唯一独房から出ることが出来るのはガラス張の壁を隔てて彼の弁護士との面談と7歳の彼の双子の女の子と面会する時だけである。また、ひと月に1回、15分間母親と姉妹と電話で話しができることになっている。29歳のモデルの彼の夫人との面会は許可されていない。

◆調書は34万ページ、さらに追加で1万4000ページ

34万ページに及ぶ調書、11万7000回の録音、更に写真とビデオ。それに最近加えられた1万4000ページの追加調書。弁護側はこれらの資料を入念には把握して行くにはさらに時間が必要だとして公判の延期を要請していたが、コーガン裁判長はそれを拒否したそうだ。

弁護側はエル・チャポは主犯ではなく、他にもっと勢力のあった組織からの圧力があったとして彼の無罪を追及して行きたいとしているが、ショーン・ペンとの録画で彼は自分自身のやって来たことを告白していることは彼自身を非常に不利な立場に追い込んでいるとされている。

陪審員は公判の期間中は24時間警護体制が敷かれ、また彼に不利な証言をすると思われる証人がエル・チャポに契約されたシカリオ(暗殺者)によって殺害されることを警戒して証人として発言する人のリストは未公開になっている。

これから4か月間ニューヨーク市民もブルックリン橋が一時閉鎖される度にエル・チャポのことを思い出すことになろう。

参照元 : ハーバー・ビジネス・オンライン


麻薬王エル・チャポ、インターポールにも賄賂 公判で新証言

2018/11/16(金) 16:55配信



【AFP=時事】米国で開かれているメキシコの麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)被告の公判で15日、被告が自身の麻薬密輸組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の円滑な運営のためにメキシコの捜査当局や軍のほか、国際刑事警察機構(インターポール、Interpol、ICPO)にも巨額の賄賂を贈っていたと関係者が証言した。

逃走中の共同被告人、「エル・マーヨ(El Mayo)」ことイスマエル・サンバダ(Ismael Zambada)被告の兄弟であるヘスス・サンバダ(Jesus Zambada)氏は法廷で、シナロア・カルテルがコカインをコロンビアからメキシコ経由で米国へと無事運ぶため、メキシコ市だけで毎月30万ドル(約3400万円)払うなど多額の賄賂を払っていたと述べた。

またサンバダ氏は自身がシナロア・カルテルのメキシコ市での活動を仕切っていた当時、橋や空港を管轄する捜査当局や司法長官執務室をはじめ、連邦・州・地方の警察、さらにはインターポールにまで自ら直接賄賂を払っていたと証言。

さらにグスマン被告の指示で、ゲレロ(Guerrero)州を統括するジルベルト・トレダノ(Gilberto Toledano)将軍にも10万ドル(約1100万円)の賄賂を支払ったという。

サンバダ氏は「コロンビアからゲレロ州経由でコカインを輸入するつもりだった。するとエル・チャポに『トレダノ将軍に会いに行け。彼は私の友人だ。私からだと言って10万ドル渡せ』と言われた」と証言した。【翻訳編集】 AFPBB News

参照元 : AFPBB News


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