2017年4月7日金曜日

ヤクザが堅気として生きていく過酷な現実を元組員と猫組長が明かす

“ヤクザと決別“ 元組員と「猫組長」が明かす、その後の過酷な現実

2017/4/5(水) 21:43配信



暴力団排除条例の施行や摘発の強化などに伴い、暴力団を取り巻く現実が厳しさを増している。

名古屋市飲食店の元経営者が日本最大規模の指定暴力団・山口組トップの篠田健市(通称:司忍)組長らを相手取り、“みかじめ料“を要求されたと訴えていた裁判では、先週、画期的な判決が言い渡された。名古屋地裁は司組長の責任を認め、1300万円あまりの賠償を命じたのだ。弁護団によると、“みかじめ料“を巡って暴力団トップの使用者責任を認めて賠償を命じたのは初めてだという。

全国の暴力団の構成員は、昨年末現在で1万8100人と、初めて2万人を割ったことが警視庁のまとめで明らかになっている。さらに、警察庁によると、2015年末時点で、構成員のうち50歳以上が4割を超え、“高齢化“が進んでいる。

ノンフィクションライターの西岡研介氏は「年齢の高い人が残っている会社だなという感じ。一昨年の山口組分裂も影響して、やはり人間関係に悩んだり、これ以上やっても法律の厳しい締め付けのところでヤクザを続けてもしょうがないと思った人がかなりのスピードで辞めていってるというのは事実だと思う。ただ、ヤクザ組織自体がすぐに潰れるという話ではない」」と指摘する。また、組織を離れた構成員のその後の人生もまた、非常に厳しいものになっていると言われている。



そんな構成員の実態について、1985年に東京・豊島区に本部を置く暴力団に入った元ヤクザの沼田竜二さん(仮名)に、話を聞いた。

10代で暴力団に入ったという沼田さんは、ほどなくして人生を大きく左右する事件を起こす、37年前、17歳だった沼田さんは、兄貴分と同期の3人で、対立する組の男がいる居酒屋へ向かった。

沼田さん「狙いは4人のうち1人だったんですよ。ただ、活きのいい3人衆が飲んでいたので、とらない人をとらないで、とらなくてもいい人をとった。それで、メッタ刺しにしたら、血がいっぱい出るわね、血行がいいから。それだけで、自分らはブルブル震えちゃっていたんだけど、兄貴だけは根性あるからパッと見て、まだ相手が息しているから、そのまま頭を撃っちゃった。結局、3人殺しているんですよ。兄貴の方は最後拳銃で頭を撃ち抜いて、懲役12年。そしてもう一人、俺と同期の奴がグチャグチャにやったら出血死で、同期が懲役6年と、自分が4年2カ月ですね」

傷害致死罪で4年2カ月服役した沼田さんは、1997年に当時の会長の死去に伴い、組は解散。沼田さんは暴力団をやめた。

“元ヤクザ“になった沼田さんは、厳しい現実を目の当たりにする。「表向きで代紋を持ったら通帳を作れない、携帯を借りれない、車のローンを組めない、家のローンも組めない、部屋も借りれない、すごく不自由じゃない?そしたらみんなどうする?ヤクザだってヤクザであることを隠すでしょ。カタギになるのは大変だと思う」。

今も家族とは離れ離れだ。

「子どもは2人いますけど、会ってもいません。会えば子どもがおかしくなるでしょ、育ててもいないのに何がお父さんだ、ってなるでしょ」と苦しそうに語った。



猫組長「僕は“辞めます“と言って辞めた」
2年前に暴力団から“足抜け“したという、元山口組系組長の猫組長は「僕は“辞めます“と言って辞めた。それで辞められる人は辞められる。その人の立ち位置や、組織にもよるのではないか」と話す。「一概には言えないが、まず借金があってはダメ。あと人数が少ないところなど、辞められたら困る組織は辞めにくい。人間関係が複雑で、例えば組長の娘さんと一緒になってるだとか身内がいると、非常に難しくなる」。

西岡氏によると「辞める際の“指詰め“も、よっぽどの人でないと言われない。映画の“そんな指、一文にもなるかい!“というようなセリフは、ある意味よく取材していると言える」と話す。

東京・新宿にある公益社団法人「日本駆け込み寺」は、刑務所からの出所者や、元構成員の社会復帰をサポートする団体だ。住まいの提供から就職先の紹介、さらには人生相談にまで乗ってくれるといい、これまで80人をサポートしてきた。中には“ヤクザを抜けたい“という相談も少なくないという。

同団体の千葉龍一さんは「やっぱり抜けたいと思う人が多いのと、仕事がない、だいたいこの2つです」と話す。「離脱届というものを出さないといけないのですが、実際は住むところがあって、働くところがないと離脱届を受理してくれないというのが大体の通例になっている状況の中で、ウチが橋渡しをしなければ、元に戻ってしまう」と、元構成員をサポートすることの困難さを明かした。



“足抜けヤクザ“対策に税金の支出はアリかナシか
こうした中、福岡県では2016年から“足抜けヤクザ“を雇用した会社に助成金を出すという制度をスタートさせた。もし彼らが会社に損害を与えた場合には、補償金も福岡県が負担するという仕組みで、過去最大の離脱者を支援したという実績を挙げている。今年度、福岡県はこの制度に1700万円の予算を計上しているという。

西岡氏は、この取り組みの背景に、福岡県警の工藤会壊滅作戦が関わっているという。「『九州で最大規模の工藤会という強固な組織を潰したい』。これが最大の目的。すると同時に『では、そしたら潰した後どうするんだ?』ということになった。工藤会解体と両輪で始めたのが就労支援制度だった」と説明。さらに「これが全国的に広がって広島県警、兵庫県警なりで同様の制度を作りつつある。やっぱり福岡県で辞めた人は福岡県で就職しにくい。そしたら兵庫で預かってほしいとか、広島でやってくれないかというように、各府県警が連携した形でやっている」と話した。

福岡県によると「この制度に関してクレームなどはなく、おおむね受け入れられていると受け取っている」とのことだが、反社会的勢力だった元構成員に対し、税金から補助金を支出することには異論もある。

これについて弁護士の尾崎毅氏は「税金を払ってこなかった人たちが、まともに働くことで利益を上げて、税金を払えるようになれば、10、20万という補助金は、将来的には回収できる話じゃないかなと思う」と話す。

ただ、尾崎弁護士によると「受入企業を探すのが難しく、また受け入れても本人たちが頑張れるかどうか、すぐに辞めてしまう問題もある」として、就労支援はまだまだ進んでいないと指摘した。

猫組長は「これまで数千人が離脱した計算だが、受け皿がなければ、フリーの犯罪者がそれだけ出来たようなもの。解決のためには税金の支出も仕方ない。もっとやるべきだ」と訴えた。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

参照元 : AbemaTIMES







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