2019年6月18日火曜日

チャイニーズドラゴン(怒羅権)創設メンバーが語る

日本社会の排他性は、少年たちをマフィアにした。これは人生の半分を獄中で過ごした男が、新たな生き方を探し求める物語である。



日本と中国の裏社会に巣くう愚連隊「怒羅権」の創設メンバーが2014年、刑務所から出所した。汪楠(47歳)。暴走族・ヤクザ・窃盗団などあらゆる悪事に手を染め、20年近くを監獄で過ごしてきた。

汪楠が中国残留孤児の親に連れられ帰国したのは14歳の時。バブルに湧く祖国へ夢と希望を膨らませていた。しかし、それは「地獄の始まり」だった。学校では、中国の言葉も文化も否定され日本への「同化」を強いられる一方で、差別と暴力で「排除」される、というダブルバインドに苦しみ、ゴミをあさる貧困から家族は崩壊。居場所を失った汪楠は、同じ境遇の少年らとともに、公園や高架下で野宿しながら、捨てられたハンバーガーで飢えをしのぐ生活を続けた。「世の中の全てが狂っていると感じる。

お前はこの社会にいらねーやつだと言われると、子供にとって社会って、国籍とか日本・中国とか関係ない。死んじまえとか言われると、なんで俺死ななきゃいけないの。なんでこんなバブルの日本で、家出してゴミ拾って生きなきゃいけないんだよ。神様とかいるかよ。クソだよ。」最初は10人ほどの自助グループだった怒羅権は、日本人不良グループとの喧嘩を繰り返し、やがて警察やヤクザとの抗争を繰り広げる組織に変質していった。

汪楠は長い獄中生活の中で、本を読みあさり、自らの思いを手記にまとめ続ける日々を過ごす。「暴力や犯罪以外の選択肢はなかったのか」「人は人によって道を踏み外すのだから、人によって救われるはず」。そう考えた汪楠は、出所後、外部交信がほとんどない受刑者たちに本を送る活動団体「ほんにかえるプロジェクト」を設立。

受刑者たちに「あなたの名を呼ぶ人がいる」ことを感じてもらい、社会に関わるきっかけになればと活動を続ける。汪楠とともに団体の活動を支えるスタッフたちも、終身刑を言い渡された男や、引きこもりがちな若者、シャブに苦しむ者など、生きる理由を見出そうとしている人たちばかりだ。

中国から日本へ、怒羅権結成、受刑生活、そしてこれからの旅路。

汪楠が映像とトークで、自らの人生を語る。





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