2018年5月9日水曜日

三つの山口組 警察は9月以降、分裂後最大級の抗争が起きるかもしれないと警戒を強める

3つの山口組問題、9月以降に分裂後最大級の抗争勃発の懸念

2018/5/8(火) 7:00配信



「3つの山口組問題」が新たな局面を迎えることになりそうだ。六代目山口組執行部が傘下組織に、ある「通達」を出したという情報が関係者の間を駆け巡り、にわかに緊張が走っている。

「8月末までは神戸山口組、仁侠山口組からの復帰を認めるが、以降は組長、幹部から末端組員まで一切の移籍を禁止する通達で、(復帰の)話を出来る相手がいるなら、それまでに終えるようにというもの」(東京の六代目山口組組員)

この証言を関西の捜査関係者にぶつけると、「そうした趣旨の通達という情報は把握している」と答えた。

六代目山口組は分裂直後から絶縁・破門処分にした組長クラスだけを“謀反者”と非難し、彼らの舎弟・若い衆に対しては「親が絶対というヤクザの立場上、致し方なく従っただけ。いつでも迎え入れる」と寛大な態度だった。組員の数がモノをいうヤクザ界における切り崩し工作の方便だが、それを止めるというのは突然の方針転換だ。他の2団体の組員へのメッセージに違いない。

ただ、神戸山口組も、そこから再分裂した任侠山口組もいまだ大所帯であり、六代目山口組が態度を硬化させたからといって、自ら看板を下ろす理由はない。なぜこの時期に一方的な最後通告を出したのか?

分裂劇はこの8月で3年の節目を迎える。来年の秋には府中刑務所に収監中の高山清司若頭が出所すると見られているため、一区切り付けたい思いはあるだろう。警察は9月以降、分裂後最大級の抗争が起きるかもしれないと警戒を強めている。本気になった六代目山口組がそれなりのクラスを狙ってヒットマンを動かすと見ているのだ。

さらに、暴力団筋には「代目替わりを控えている山健組への揺さぶり」(他団体幹部)という見方もある。

「神戸山口組の中核組織であり戦闘部隊の山健組で、四代目である井上邦雄組長から中田広志五代目(現若頭)体制への移行が近いと見られている。それを見越して、六代目山口組は移籍の期限を設定し、新体制に不満を持つ古参幹部らの離脱に拍車をかけようということじゃないか」(同前)

ヤクザ組織のトップの交代はほぼ例外なく揉める。一般企業の社長交代といささか事情が異なるのは、これまで同列、格下の位置にいた新親分に絶対服従を誓い、新たな盃を結び直す必要があることだ。誰を選んでも調整は難航し、あんなヤツの盃は受けられないと組織を離れる人間が出る。

「新しい盃を結ぶということは、前親分との間の“親子盃”を水にするということ。親が黒と言えば白も黒になるほど絶対視される盃がなくなるため離反が生まれやすい」(同前)

神戸山口組や任侠山口組側の組員たちは「分裂当初ならともかく、いまさら戻っても冷飯を食わされるだけ」(神戸山口組系組長)と取り付く島もないが、早速、古参幹部が山健組を離脱したという噂も流れた。

再起動した山口組抗争は一気にヒートアップするかもしれない。

●取材・文/鈴木智彦(フリーライター)

※週刊ポスト2018年5月18日号

参照元 : NEWSポストセブン





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