2017年5月9日火曜日

神戸山口組を離脱した直系組長らが「任侠団体山口組」結成 ~ 分裂ではなく内輪もめ?カネを巡るトラブル?

任侠団体山口組、分裂ではなく内輪もめか

2017/5/3(水) 19:11配信



4月30日、指定暴力団・神戸山口組を離脱したとされる直系組長らが、「任侠団体山口組」の結成を表明しました。暴力団対策法の規制対象から外れるための「偽装分裂」との見方もありますが、警察はこの動きを「分裂ではなく内輪もめの状態」とみて、新たな組織を神戸山口組と同一団体として取り締まる方針であることがわかりました。

30日、新組織「任侠団体山口組」が結成を表明しました。異例となる記者会見まで開き、神戸山口組の「高い上納金」や「一部の組の優遇」を批判しましたが、警察は…。

「別組織なのか、それとも神戸山口組の括りの中にまだいるのか、これから見極めていく」(兵庫県警捜査幹部)

つまり新組織は、六代目山口側への報復の際に神戸山口組が責任を逃れるための策という見方もあるのです。確かに不可解な点も…。

<組長不在>
新組織の代表は井上邦雄組長に心酔していたとされる織田絆誠、本名・金絆誠元幹部。あくまで代表であり組長は空席となっていて、暴力団組織にとっては異例です。さらに…

<盃なし>
暴力団の世界では通常、盃を交わし忠誠を誓いますが、新組織では精神的な同志の絆に重きを置くとしています。この状況から警察庁は「分裂ではなく内輪もめの状態」とみて、新組織も神戸山口組と同一団体とし、暴力団対策法の規制対象として取り締まる方針を示しました。一方で…

「そりゃあもうお金がないのが一番ですよ。金がないからちょっとでも上から上納金と言われたら、それだけでピリピリするんじゃないですか」(山口組元顧問弁護士 山之内幸夫さん)

山口組の元顧問弁護士、山之内幸夫さんは分裂が取り締まり逃れの策とは考えにくいと話します。

「そんな小細工できるゆとりなんかないですよ。ありえないですね。織田さん(新組織代表)と去年の秋に話した時にね、『このままの状態ではもたん』というようなことをちらっと言っていたからね。あの時何を言っているのかな、とは思ったんですけどね。私は再編の始まりかなと思います。再編というのは試行錯誤が繰り返された後、また一つの山口組に戻っていく、その過程かなと思いますね」(山口組元顧問弁護士 山之内幸夫さん)

※「侠」は人2つ

参照元 : 毎日放送


山口組分裂の舞台裏と、乱れ飛ぶ「怪情報」 カネを巡るトラブルは本当か

2017/5/4(木) 8:01配信



怪情報ではあるが…
「織田(絆誠・神戸山口組若頭代行)を始め、一部の幹部が携帯の電源を切って、連絡できんようになった。出て行くつもりか」

こんな一報が、4月28日夜、神戸山口組の幹部から寄せられ、翌29日に開かれた緊急幹部会で、反乱の詳細が明らかとなった。井上邦雄組長が、最も信頼を寄せ、最高幹部に抜擢していた織田若頭代行の離反である。神戸山口組内の最大組織で、織田若頭代行が副組長を務める山健組から30数組織を引き連れて離脱していた。

翌30日、神戸山口組は全体会合を開いて、織田若頭代行と、付き従った四代目真鍋組の池田幸治若頭補佐を絶縁処分とした。同日、両氏は、尼崎市内の施設で会合を開き、織田氏を代表、池田氏を本部長とする「任侠団体山口組」を結成した。

目まぐるしく事態が動き、六代目山口組、神戸山口組、任侠団体山口組と三分割した山口組の今後について情報が錯綜するなか、乱れ飛んだのはカネにまつわる話である。真贋定かでない怪情報としてお伝えしたい。

「織田は、六代目山口組にカネで転がされた。当面、組を出る支度金に3億円。組織が発足して順調に行けばさらに2億円。カネを出したのは、名古屋の弘道会」

流れているのはこんな話だ。この5億円を10億円とする説もあるが、要は、司忍六代目の出身母体である弘道会が、武闘派で、地方の神戸山口組組織を激励のために全国行脚するなど実行力もある織田氏を、カネで取り込んだという説である。

右腕となった池田本部長も同様だ。

「池田は、保釈金などに使う急ぎのカネ7000万円を、神戸山口組と親密な組織から借りていた。その取り立ての代行をやっていたのが織田で、一緒に神戸山口組を出る条件が、池田の借金を織田が被ってチャラにするというものだった」

カネに汚いというイメージを刷り込もうという趣旨なのかも知れないが、カネに関しては井上組長も攻撃を受けている。

任侠団体山口組は、30日の発足後、異例の記者発表に踏み切っているが、離脱の理由として①金銭の吸い上げ、②井上組長の出身母体のひいき、③井上組長が進言諫言を聞かないこと、という三つを上げている。

第一の離脱理由がカネ。神戸山口組を一昨年8月、離脱する際の最も大きな理由が、下部組織から月85万円の上納金だけでなく、ミネラルウォーターをはじめとする物品を販売してカネを吸い上げ、しかも情報統制と行動監視で直参(直系組長)を徹底的に従わせる「名古屋方式」への反発だった。

そのために神戸山口組は、上納金をポジションによって幅を持たせ、月30万円~10万円に引き下げたが、その他にいろんな名目で徴収、結局、かつてより高くなったという。しかも払えなければ組事務所を取り上げるなど、カネに関するシビアさは、六代目山口組以下だと、池田氏は会見で不満を口にした。

喰えない職業だからこそ
井上組長には、「横取り疑惑」もあるという。

「池田組の若頭が弘道会の若いものに射殺された。当然、報復しないといけないし、それがヤクザの掟。報復のための資金が1億、2億と集められているのに、それは井上組長が『預かり』という形で流用している」

むろん、現段階では流言飛語の類だが、それだけ暴力団社会はカネに詰まっており、カネが原理原則を支配する。任侠団体といいつつ、任侠は失われつつある。任侠団体山口組という命名は、原点回帰という意味だが、原則を外してしまった不可解さがある。

本来、暴力団社会は、「親分が黒と言えば白も黒」、「組織のためなら体を張る」という理不尽な行動原則を守るために、盃事で上下関係、人間関係を縛ってきた。擬似で結ぶ親子、兄弟の関係は、「肉親よりも濃く重い」とされた。任侠団体山口組は、その盃事をせず、組長を置かずに横の人間関係で連帯する。

神戸山口組が、親を裏切る「逆盃」となるのを承知で割って出て、任侠道に戻るとしながら「現実は六代目山口組にも劣る、それ以下の悪政でした」(池田本部長)というので、その反省から「逆盃」に「逆盃」を重ねるような愚を犯したくない、ということだろう。

それで、懲役刑となるのを承知で襲撃させるなど、理不尽な指示を与えた時、配下がそれを呑むかどうかは疑問だが、確かなのはカネが優先する集団となっていくことだ。

暴力団に正業が認められた頃、土建、不動産、高利金融、人夫出し、産業廃棄物、芸能、興業などでは、それなりの存在感を示せた。それに加えて、任侠右翼、総会屋、債権回収、地上げ、縄張り内のみかじめ、売春といったグレーゾーン領域では、暴力装置の威力を見せつけた。さらに闇金融、裏カジノ、覚醒剤など完全なブラック領域は、彼らの独壇場だった。それはすなわち、「食える職業」であり「不良が憧れる存在」だった。

今は、完全に食えない時代である。暴力団という代紋を背負っていれば、家は借りられず、銀行口座は開けず、企業とは付き合えず、役所には相手にされず、人間扱いされない時代である。代紋が不都合になっているのに上納金などとんでもない、というのが実情だろう。だからカネに汚い。カネに転ぶ。

斜陽産業である暴力団を見限って、組織を離れる組員が続出、暴力団構成員は2万人を切った。残るのは、他に行き場のない高齢者ばかりで、組長が70代で「若いもの」が50代だったりする。

「任侠団体」を名乗りながらも三番目の山口組が盃事をしないのは、新しい組織形態のなかで、上納金に頼らずカネを稼ごうということだろうが、ビジネスモデルを否定された存在が、新たな秩序で新たな生きる場を構築するのは容易ではない。

残るのは、抗争を繰り返しつつ3団体が疲弊していくか、それに疲れてひとつの山口組に収まって衰退していくのか。いずれにせよ三つの山口組に残された時間は短い。

伊藤 博敏

参照元 : 現代ビジネス




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