2016年11月2日水曜日

【福岡県警・元警部銃撃事件】組員が工藤会トップとの共謀を否認、歯科医襲撃初公判、組員は関与認める

工藤会トップとの共謀、否認 元警部・歯科医襲撃初公判、組員は関与認める

2016/11/1(火) 14:56配信

幹部の関与を立証できるかが最大の焦点

北九州市で2012年に福岡県警の元警部が銃撃された事件などで組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会(同市)系組員、和田和人被告(37)の初公判が1日、福岡地裁(松藤和博裁判長)で開かれた。和田被告は事件への関与を認めた上で、同罪などで起訴された工藤会トップで総裁の野村悟被告(69)らとの共謀を否認した。

県警が14年に始めた「工藤会壊滅作戦」で摘発した事件のうち、野村被告が関わったとされる事件の公判は初めて。検察側が野村被告の指揮命令系統を明らかにし、幹部の関与を立証できるかが最大の焦点となる。

起訴状によると、野村被告の指揮命令に基づき、12年4月19日に同市小倉南区で元警部=事件当時(61)=を拳銃で撃ち、14年5月26日には同市小倉北区で歯科医師の男性=同(29)=を刃物で刺して、それぞれ殺害しようとした。さらに12年8月14日、他の組幹部らと共謀して同区のビルに放火し、エレベーターを全焼させたなどとされる。

起訴内容の認否で、和田被告は、元警部銃撃事件について「(事件に関与した)事実は間違いないが、人を殺すとは分からなかった」などと述べて殺意や野村被告らとの共謀を否認し、無罪を主張。歯科医師刺傷事件でも、殺意や共謀はなく傷害罪などに当たると説明した。放火事件では起訴内容を認めた。

検察側は冒頭陳述で、工藤会捜査を長年担当していた元警部と野村被告らは面識があり、情報交換をする間柄だったが、後に関係が悪化したと説明。野村被告の指示で定年退職後を狙って襲撃したと述べた。歯科医師襲撃事件では、港湾事業に影響力を持つ歯科医師の親族から利権を巡る交際を拒絶されたことから、野村被告が犯行を命じたとした。和田被告は実行犯の送迎役などを務めたと指摘した。

元警部銃撃事件などは裁判員裁判の対象だが、地裁が「裁判員に危害が加えられる恐れがある」として裁判官のみで審理することを決定していた。和田被告は自らの関与を大筋で認めているため、他の被告に先行して審理される。野村被告らの公判開始の期日は決まっていない。

■「上意下達の組織的犯行」検察側
「強固な上意下達が求められる工藤会の指揮命令系統に従い、組織的に準備遂行された犯行だ」。2012年の元警部銃撃事件などで組織犯罪処罰法違反罪に問われた工藤会系組員和田和人被告の初公判。検察側は工藤会壊滅を図る元警部への恨みや利権確保を動機として、トップで総裁の野村悟被告ら中枢幹部による指示があったと強調した。

検察側は冒頭陳述で、元警部銃撃事件について、元警部が30年以上にわたり工藤会を担当したと説明。元工藤会系組員を任意で事情聴取した際、元警部による野村被告の悪口が録音されていたと明かした。野村被告は元警部に「最後になって悪いもん残したな」と話したといい、元警部に自宅の捜索を受けた工藤会会長の田上不美夫被告(60)も「わしの家をめちゃくちゃにしてくれたらしいやないか」と元警部に語ったと指摘。「野村、田上両被告にしか動機が存在しない。組織的な報復事件」と述べた。

14年の歯科医師刺傷事件については背景として、北九州市若松区沖の響灘の開発事業を挙げた。関係工事に大きな影響力を持つ歯科医師の父親や親族が約20年前に工藤会との関係を拒絶したことから、野村被告が長年にわたり親族らを標的に圧力をかけ続けていたと指摘。港湾工事に大きな権限を持つ北九州市漁協組合長の選挙への立候補を歯科医師の父親が検討しながら、工藤会との関係を拒んだことから、野村被告らが事件を計画したと説明した。

検察はいずれの事件についても、野村被告による指示で、野村被告の出身母体の2次団体「田中組」の組員が中心となり、実行役や送迎役などの役割を分担して犯行に及んだと説明。「工藤会ではトップの命令が絶対。決して下位者が上位者の意思に背くことは許されない」として、組織性を強調した。

■捜査員ら警戒
工藤会系組員和田和人被告の初公判に際し、庁舎の玄関前では、多くの地裁職員や県警捜査員が警戒に当たった。

裁判では、用意された11席の傍聴席を求めて120人が列を作ったが、暴力団員のような人々の姿は見られなかった。工藤会壊滅作戦を受けて15年1月に始まった来庁者へのボディーチェックが行われたほか、開廷前にも福岡地裁職員らが傍聴者の身体や手荷物の検査を入念に実施。トラブルはなかった。

【ワードBOX】工藤会壊滅作戦
福岡県警は2014年9月、元漁協組合長を1998年に射殺した容疑で、特定危険指定暴力団工藤会の総裁野村悟被告(69)らを逮捕した。以降、未解決事件に次々に着手し、殺人や組織犯罪処罰法違反などの容疑で野村被告を6度にわたり逮捕。検察は主要な事件で中枢幹部を含む計21人を起訴した。県警によると、工藤会は組員約470人(15年12月末時点)のうち約200人が勾留・服役中となっている。

参照元 : 西日本新聞




工藤会事件、元組員が初公判 検察側「組幹部が主導」

2016/11/1(火) 14:14配信

指定暴力団工藤会(北九州市)が市民らを襲撃したとされる一連の事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた元工藤会系組員の和田和人被告(37)の初公判が1日、福岡地裁(松藤和博裁判長)であった。トップで総裁の野村悟被告(69)らが逮捕された2014年9月以降、一連の事件が法廷で審理されるのは初めて。

和田被告が関与したとされるのは(1)12年4月、北九州市小倉南区の路上で福岡県警元警部の男性(当時61)が銃撃され重傷を負った事件、(2)12年8月、暴力団排除の標章を掲げた店が入る同市小倉北区のビルのエレベーターが放火された事件、(3)14年5月に同区の駐車場で歯科医師の男性(当時29)が刺されて重傷を負った事件。

検察側は、(1)と(3)の事件については野村被告やナンバー2の田上不美夫被告(60)にしか動機が存在しないとして、工藤会幹部が主導した組織的な襲撃と指摘した。

和田被告は起訴内容について、元警部事件で襲撃に使われたバイクを盗んだことは認めたが、「殺すとはわからなかった」と述べた。放火事件はおおむね認め、歯科医事件は「関与はしたが殺意はなかった」とし、傷害罪か暴力法違反罪にあたると主張した。

検察側の元警部事件の冒頭陳述によると、元警部は工藤会の捜査を長年担当。警察側の窓口として、工藤会側窓口の野村、田上両被告と情報交換していた。

参照元 : 朝日新聞

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